
溶岩を知る
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自然からの恵み 石焼きを知る
石焼きに使われる石材は種類が豊富で、それぞれ特徴や用途が異なります。以下に代表的な石の特徴と適した用途をご紹介します。

長水石(チャンス石)
用途: 石焼きビビンバやスープ類に
特徴: 長水石は主に韓国の長水地方で採掘される希少な石材で、特に長水郡内の特定の山で採取されるものが本来の「長水石」と呼ばれます。
多孔質ではないため油や水分をほとんど吸収せず、ゴマ油を使ったビビンバやサムゲタンのようなスープ料理に適しています。
大変希少な石で、現地では石焼きビビンバ用の器が1つ10万円以上することもあるそうです。
角閃石
用途: 主に石焼きビビンバ
特徴: 角閃石は光沢のある雲母を多く含む石で、安山岩やハンレイ岩に混在して産出されることが多いです。
長水石に似た特性を持ち、油を吸いにくい一方で、焼肉には不向きとされています。日本で石焼きビビンバを食べる際、多くの場合に使用している石がこの角閃石です。
その性質は長水石に似ており、油を吸収しにくい特徴があり、焼肉のような調理にはあまり向きません。
鉄平石
用途: 敷石や門柱などが中心
特徴: 溶岩石の一種で、平たく割れる特性があります。石焼きに使用する場合、非多孔質構造を補うために「ほう葉」などを敷くことが一般的です。
ただし、焼き用途よりも敷石や建材としての使用が一般的です。
深成岩(花崗岩・ハンレイ岩)
用途: お墓や床暖房など
特徴: マグマが地殻内で冷えて形成される深成岩は、耐久性が高く風化に強い反面、高熱に弱い性質があります。
そのため、石焼きには向いておらず、磨くと美しい光沢が出ることから主にお墓や装飾用途に用いられます。代表的なものには御影石があります。
その他の石材(川原の石・玉石)
用途: 石垣や装飾
特徴: 河川や山から採取された自然石は形状や色が多様で、石垣などの装飾に適しています。溶岩石も含まれる場合がありますが、
石焼きに適しているかどうかの識別は難しいため、あえて利用する必要は少ないといえます。
溶岩石
溶岩石は火山の種類によって異なり、以下の3種類に分類されます。
玄武岩(成層火山:例・富士山)
安山岩(カルデラ火山:例・桜島)
流紋岩(溶岩ドーム:例・阿蘇山)
これらは主成分であるケイ素(Si)の含有量や気泡の量により特性が異なり、用途もそれぞれ変わります。
※石焼き向き度を★の数で表しています。
火山の種類:成層火山(富士山や大島の三原山等)
石種:玄武岩
ケイ素酸(sio2)含有量:50%含有
色:黒
硬さ:軟らかい
用途:庭石など
石焼き向き度:★★★
黒色で、粘り気がなく柔らかい特徴を持つ溶岩石です。大きな気泡が多数含まれているため、非常に軽量で、「黒ぼく石」として昔から庭石に利用されてきました。
ただし、気泡の多さゆえに密度が低く、遠赤外線効果が弱いことに加え、柔らかいため耐久性に欠けます。このため、石焼き用途には適していません。
火山の種類:カルデラ火山(桜島や雲仙普賢岳等)
石種:安山岩
ケイ素酸(sio2)含有量:60%含有
色:灰白
硬さ:硬め
用途:灯篭や城郭等
石焼き向き度:★★★★
灰色で粘り気があり、硬めの溶岩石です。微細な気泡があり、表面は滑らかで重さも感じられます。粘り気と滑らかさを活かして彫刻に適しており、灯篭などに多く使われています。
また、その重さと安定感、耐久性の高さから、風化しにくいことを理由に城郭などにも使用されてきました。
ただし、気泡が小さく少ないため(細孔質構造)、臭いを吸着する力や保温力が不足しており、石焼き用途には最適とは言えません。
火山の種類:溶岩ドーム(阿蘇山等)
石種:流紋岩
ケイ素酸(sio2)含有量:70%含有
色:白
硬さ:とても硬い
用途:石器等
石焼き向き度:★★
白色で、非常に硬く粘り気の強いガラス質の溶岩石です。代表的な例として「黒曜石」が挙げられ、その硬さを活かして古代では石器の矢じりなどに使用されていました。
しかし、その表面が非常に硬いため、臭いや油分を吸収しにくく、石焼きには適していません。
匠の溶岩焼肉プレート
石種:安山岩寄りの玄武岩
ケイ素酸(sio2)含有量:約55%含有
色:灰
硬さ:やや硬め
用途:石焼きに最適
石焼き向き度:★★★★★
玄武岩と安山岩の中間に位置する、まさに石焼きに最適な溶岩石です。この石の特徴は以下の通りです:
- 気泡の大きさが均一
- 気泡の数が適度
- 高い密度
- 優れた耐久性だが、硬すぎない
これらの特性により、高い遠赤外線効果と保温力を発揮し、油や臭い、煙などもしっかりと吸着します。
さらに、有害な成分が一切含まれていない稀有な溶岩石です。
まさに石焼きにぴったりで、肉を焼くためにある溶岩石と言えるでしょう。